先日、ニュースでトラックの横転事故がありました。
お気の毒なことにそのトラックの運転手さんは救急搬送された先の病院でお亡くなりになってしまいました。
事故の場所は北海道のあまり車通りのない国道です。
事故の相手や目撃者のいない状態での事故だったようですが、運転手さんのスマートフォンiPhone(アイフォーン)から自動通報があり、
駆けつけた救急隊がトラックの下敷きになっていた運転手さんを発見、病院に緊急搬送されましたが亡くなってしまったそうです。
このiPhoneからの自動通報が無ければ、この運転手さんは何時間も発見されずにいた事でしょう。
今回は残念なことに間に合いませんでしたが、助かった事例もあったのかも知れませんよね。
この報道で僕はiPhoneにそんな機能があることを初めて知ったのですが(汗)、
どんな機能なの? どれくらいの衝突で検知する仕組みなの?
Appleがこの機能を搭載した理由は? 対応機種は?
この機能はオフにできるの?
などなど、疑問が湧いてきたのでちょとまとめておこうかな?と思いました。
もし良かったら最後までお付き合いください!
iPhoneの衝突事故検出ってどんな機能?
この衝突事故検出(Crash Detection)機能がiPhoneに搭載されたのは2022年だったんですね。
結構前ですね(汗)
2022年秋に発表されたiPhone 14/14 Proシリーズと、Apple Watch Ultra/Series 8/SE(第2世代)から搭載されたということで、
- 車が激しく衝突したことを自動検出
- 緊急通報を促します
- 当事者が通報できない場合、自動で緊急通報サービス(日本では119番)につなぎます
という機能です。
なんかiPhoneに強い衝撃があったら自動で通報するのかな?と思っちゃいますが、そうでは無いんですね。
しかも単なる「衝撃」ではなくて「車が激しく衝突」とわざわざ書くあたりがAppleのこだわりを感じさせます。
そして自動で通報する前に、iPheneの所有者本人に「通報するか否か」を確認、「する」ならスライダを操作するだけで簡単に通報、「しないなら」キャンセルボタン押下、
どちらの操作も無ければiPhone所有者本人が操作できない状態と判断し、自動で緊急通報・同時にGPSでの位置情報も通知する、というものです。

衝突事故検出機能:Apple公式サイトより
なるほど、iPhoneの衝突事故検出機能、単純に「衝撃」→「通報」では無く、なかなか良く考えられた優れた機能だな、と思います。
iPhoneの衝突事故検出ってどれくらいの衝撃で検出する仕組みなの?
iPhoneは何Gで事故だと判断するの?
で、ここでちょっと思いますよね?
iPhoneはどれくらの衝撃でこの機能を発動するのか?
iPhoneを床に落としたり人にぶつかったくらいで発動しちゃったら、本人も救急隊も大変ですよね。
調べれば「何Gで発動」とか簡単に出てくるかな?と思いきや、出ないんですね(笑)
この「何Gで」とか簡単に言えないところが逆にすごいというか。
iPhoneとApple Watchによる衝突事故検出は、衝突検出のためのセンサーフュージョンアルゴリズムや100万時間を超える衝突データ、実走行、衝突試験を実施して開発・検証されたものなんだそう。
乗用車に数千台のiPhoneとApple Watchの両方を搭載してテストし、「誤検知を最小限に抑えながら緊急時に役立つ手助けとなるよう最適化された」とのことです。
iPhoneの加速度センサーとジャイロスコープ、GPS、気圧計、マイクからのモーションインプットなどの様々な情報を組み合わせて、
その「激しい衝突」が「車が激しく衝突した事故なのか?」を判断します。
自動車事故は通常何Gくらいの衝撃なの?
では自動車事故って通常何Gくらいの衝撃で、iPhoneの加速度センサーは何Gまで計測できるの?
という疑問が湧きますよね。
良く戦闘機のドキュメンタリーや映画(トップガン!とか)や自動車レースのF1関連の番組なんかで、普通の人であれば8〜10Gくらいの加速度で失神すると言われますよね。
交通事故の遭って失神するということは普通に起こる事と思いますので、まずはこの10Gくらいが最低ラインなのかな?とは想像できます。
実験によると日常経験しうる自動車事故では50G以下くらいと言われています。
これの対してiPhoneの加速度センサーは最大256Gを感知できる性能だということです。
ちょっとオーバースペックじゃないの?と思っちゃいますが、交通事故によるGは、例えば戦闘機が旋回する時のGのように「ぐぅ〜〜」っとかかるGではなく、
『短時間の非常に鋭い衝撃』なんだそうです。
つまり非常に短い瞬間にパッと(最大で)50Gかかるということなんですね。
そうなるとiPhoneの加速度センサーの計測レンジが例えば70〜80Gだと、衝撃を動的に捉える能力が低くなってその一瞬の50Gを計測できない恐れがあるそうです。
ですので、iPhoneの加速度センサーは感知したいGの5倍もの性能(256G)を持つことで、必要なダイナミックレンジを稼いでいるということなんですね。
iPhoneが計測しているのは衝突Gだけでは無い
ところが当然ながらこのGの計測だけでは交通事故かどうかの判断はできません。
iPhoneにもApple WatchにもGPSが備わっているのはご存知の通りですが、衝突直前の速度と、その衝撃による減速をも測定しているということです。
…すごいですよね。
iPhoneを持って歩いているだけで、まるでドライブレコーダー(の映像無し版)のように、常にデータを記録しているということですよ(汗)
しかもそれだけでは無いというんですね!
止まっていても事故に遭うという事です。
例えば、信号待ちで止まっているときに後ろから追突された場合、その衝撃は事故の前後でスピードの変化を伴わない場合があります(車両の間に挟まれてしまった、など)。
そこでiPhoneは、圧力センサーを使って車内の圧力の変化を検出したり、衝撃音の大きさをマイクで拾い、衝突の可能性を判断しているということです。
…いやこれもすごいですね。
つまりiPhoneはこの衝突事故検出の機能のために、
- 加速度センサー
- ジャイロスコープ
- GPS
- 圧力センサー
- マイク
を常に機能させ、衝突事故検出に備えているということですね!
(よくバッテリーもつな…と貧乏くさいことを思っちゃいました…笑)
AppleがiPhoneに衝突事故検出機能を搭載した理由は?
もともとApple Watchには装着している人のバイタルデータを収集したり、転倒を検知したりという機能がついていますが、
こういったデバイスでお客さんの安全を守れないか?という流れをiPhoneにも導入したということですね。
その中でも…
特にアメリカでは、1日の大半を運転に費やす人が多く、その多くの場合が、1人での運転、かつ人があまりいない田舎です。
実際、アメリカ運輸省によると、致命的な事故の半分が地方で発生し、その大半が単独の事故です。つまり、助けを呼ぶことができないのです。
そこで、iPhoneとApple Watchが、重大な自動車事故に遭遇し連絡が必要なとき、そばで役立ってくれるはずだという確信を強く持つようになりました。
Apple副社長カイアン・ドランス氏:東洋経済 onlineより
Apple社はiPhoneの開発に際し「電話の再定義」と位置付けてプロジェクトを開始したそうですが、iPhoneもApple Watchもすでに電話や腕時計の枠を大きく超えてきていますよね(笑)
iPhoneもApple Watchも、これかどんどん進化していくと思いますが、どんな事になっていくのか楽しみですよね!
iPhoneの衝突事故検出の対応機種は?
さてこの衝突事故検出機能に対応している機種は?ということですが、冒頭に、
- iPhone 14/14 Proシリーズ
- Apple Watch Ultra/Series 8/SE(第2世代)
と記載しましたが、これに加えてOSがありますよね。
- iPhone:iOS16以降
- Apple Watch:Watch OS9以降
ということになっています。
ハードウェアが多少古くてもOSを最新版にアップデートすれば良いのでは?
と思う方もいらっしゃるかと思いますが、そういうワケにもいかないようで…
上の方で書いたように、各種センサが常時データを収集していて、特に加速度センサーがこの機能のためにかなり改良されています。
ですので、古いiPhone/Apple Watchの機種ではセンサー自体がそのスペックを満足しない、という事になるんですね。
こればっかりは仕方のないことかも知れません。
iPhone/Apple Watchのこの「衝突事故検出機能」を利用するためには、それぞれ上記の条件を満たす必要がありますね。
iPhoneの衝突事故検出ってオフにできるの?
まずこのiPhoneの衝突事故検出機能、オフにできるの?
ということですが、「オフにできます」
基本、デフォルトで「オン」になっていますので、購入後何もしなければこの衝突事故検出機能は働いています。
どうしてもオフにしたい場合は;
iPhoneの衝突事故検出機能の場合
- 設定アプリを開きます。
- 「緊急SOS」をタップします。
- 「激しい衝突事故発生後に電話」をオフにします。
Apple Watchの衝突事故検出機能の場合
- iPhoneで、Apple Watchアプリを開きます。
- 「マイウォッチ」タブで「緊急SOS」をタップします。
- 「激しい衝突事故発生後に電話」をオフにします。
iPhone/Apple Watchどちらも場合も「オフ」にしたことを忘れないで、オフにしなきゃいけなかった状態が終わったら速やかに「オン」に戻しましょう!
誤作動の多い例:スキー/スノーボード
この機能を知らずに、あるいは知っていてもそれで動作するとは気づかずにiPhoneから自動通報してしまって…
という事例が結構あるそうで、一番多いのはスキー/スノーボードだとか。
確かにスキー/スノボでアイスバーンで激しく転んだりすると結構な衝撃ですもんね。
僕も脳震盪起こしそうになった時ありますよ。
スキー/スノボ中はたぶんiPhoneをポケットやポーチなんかに入れていて、日常ほどそう頻繁には確認しないでしょうから、
派手に転んだ後とかでも、「緊急通報促しモード」中であることに気づかず、iPhoneが「あ、この人気絶してる!通報しなきゃ!」となるんでしょうね。
スキー中は衝突事故検出機能をオフにするか、派手に転んだ時は常に本機能の状態を確認するかした方が良いですね。
(オフにしていて、スキー/スノボ中に本当に衝突事故検出機能が必要な事態になってしまったら笑えないですよね…)
誤作動の多い例:音楽フェス
なにやら野外の音楽フェスで、お客さん同士がジャンプしながらお互いの体をぶつけ合うという動作をしていたところ、大量の誤作動・通報があったそうです。
普通にシャツやズボンのポケットなんかに入れて体をぶつけても、そんなに激しい衝撃とはならない気がしますよね。
僕の勝手な想像ですが、サコッシュや首から下げるようなタイプのホルダーに入れていて、ジャンプしたり回転したりという動作の中でiPhone同士がぶつかったとか、何か固いものに当たったとか…
じゃないかなぁと思います。
音楽フェス中にスマホの確認なんかしませんもんね…
なにか衝撃を吸収する柔らかいものにくるんでしまって(携帯して)おくと良いかもですね。
iPhoneの衝突事故検出機能まとめ
というわけで、ながなが書いてしまいましたがiPhone/Apple Watchの衝突事故検出機能について調べてみました。
- iPhoneの衝突事故検出ってどんな機能?:車が激しく衝突したことを検出→通報を促す→応答無ければ自動で緊急通報します。
- iPhoneの衝突事故検出ってどれくらいの衝撃で検出する仕組みなの?:加速度センサー/ジャイロスコープ/GPS/圧力センサー/マイクからのデータを総合的に判断、検出します。
- AppleがiPhoneに衝突事故検出機能を搭載した理由は?:お客さんが重大事故に巻き込まれた時に、iPhone/Apple Watchが通報の役に立つはずだという思いからとのこと。
- iPhoneの衝突事故検出の対応機種は?:iPhone14以降(iOS16以降)Apple Watch8以降(WatchOS9以降)
- iPhoneの衝突事故検出ってオフにできるの?:デフォルトでオンですが、オフにできます。
いかがだったでしょうか?
すでに何と無くは知っていても、あぁそうだったんだ…みないな事があったなら嬉しいです。
最後までお付き合い、ありがとうございました!
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