ロシアの衛星たった3年で落ちる?制御不能!核は積んでいない?【コスモス2553】

なんとロシアの人工衛星『コスモス2553』が制御不能な状態に陥っているという報道です!

コスモス打上げ『ソユーズ2.1b』:BBCニュースより

アメリカのベンチャー企業である宇宙追跡会社『レオラブズ(LeoLabs)』によると、この1年間、同衛星は制御不能な回転を続けている模様だとのことですね。

このあまり聞き慣れないレオラブズという会社ですが、宇宙空間の物体を観測し、人工衛星や宇宙ゴミの追跡、衝突予測、マッピングなどを行なっている会社ですね。

レーダーシステムを世界中に設置し、宇宙空間の状況認識を提供することで、宇宙における安全な活動を支援しているということです。

きっと地球の周りにある、1億3千万個以上と言われているスペースデブリ(宇宙ゴミ)のマッピングなんかも手がけているんでしょうね。

地球観測衛星や国際宇宙ステーション(ISS)なんかにとっては万一の場合、本当に深刻なダメージにつながりますから、こういったデータ・活動は本当に貴重なものだと思います。

ロシアの衛星どんな状態?

この『コスモス2553』という衛星は、ロシアのウクライナ侵攻直前数週間前の2022年2月5日に打上げられました。

打ち上げ場所については明らかにされておりませんが、他のコスモスシリーズがモスクワの北約800キロメートルにあるプレセツク宇宙基地から打ち上げられていることから、恐らく同じと思われます。

この衛星はの軌道高度は約2000kmということですが、このあたりってアレですよ放射線がめちゃ強い『バンアレン帯』という地球をドーナツ状に覆っている領域が近いんですね。

バンアレン帯の断面図:NASAより

衛星に積まれている電子機器は結構放射線対策をしていますが、軌道遷移(低い軌道から高い軌道に移ったり、その逆も)をする場合はバンアレン帯をなるべく短時間で抜けるように計画するんですよね。

でもこの衛星は常時この放射線が強いところに居るような軌道ですから、いくら対策をしていても限界があるって事なんじゃないでしょうかね。

実際この衛星の打上げ目的が高放射線環境下での搭載機器の試験という研究目的」とロシアが公表していますから、放射線的にキツイことは分かっていた、ということなんでしょう。

通常、衛星の姿勢がおかしくなったり、クルクル周り出したりしたら搭載燃料を使ってなんとか姿勢を立て直す努力をすると思うのですが、もう1年もそんな状態が続いているということは…

すでに姿勢制御用の燃料は使い切ってしまって、もう制御不能→運用は諦めた、という状況なのではないかなと思います。

運用していない=制御していない衛星はどうなるか?というと…

まずは地球に限らず月もそうですが、綺麗に天体の中心に重心が集まっているわけではないので、重力の分布も綺麗に1点に引かれるわけでは無いんですよね(地上の僕らには無視できる範囲ですが)。

なので衛星も放っておくとどんどんその軌道が乱れてきて、当初より高くなったり低くなったりしながら、微少な地球の空気の抵抗なんかも加わって、徐々に高度が下がってきます。

そしていずれは空気の厚い層につかまって地球に落下する、ということなります。

 

落ちたらどうなる?

で、衛星が地球に落ちてきたらどうなる?というと、大部分の方々が知っているように、「大部分は燃え尽きる」ということになります。

流れ星と同じですね。あれは地球を回っているゴミや石などが大気圏に突入して燃えることで、地上からは光って見えるというものですね。

でよく「空気との摩擦で燃える」という説明がされることが多いですが、実際はもっと複雑な現象が起きているんですよね。

ちょっと長くなるのでいつか機会があったら書きたいなと思います。

というわけで、この衛星ももちろん大きさや構造にもよると思いますが、大部分は燃えてなくなるでしょうね。

もし『核』を積んでいたらどうなるの?という不安もよぎりますが、ロシアは核の搭載を否定しています。あくまで放射線下での機器の実験だと。

万一核のようなものを積んでいたとしても、反応させなければ大丈夫なはずです。

核兵器は精密機械であり、適正量の正確に整形された核物質や中性子反射材、均質な火薬などの全てを正しい位置に配置して、まったく問題が生じないように設置する必要がある。

もしも核弾頭が爆縮型の場合は少なくとも爆縮レンズの火薬を1000分の1秒以下の誤差で同時に点火し、均等にプルトニウムを爆縮させなければならない。爆薬に温度勾配が生じてはならない。

これらのプロセスに1つでもミスがあると、爆縮に問題が生じ設計された核爆発規模に比べて小さな核爆発で終わってしまう。

不完全核爆発:Wikipediaより

というわけで、恐らく強固な容器に入ったままの核物質が燃え尽きずに海中に沈む、ということになるのではないか?と思います。

 

まとめ

というわけで、今回の事象は『ロシアの宇宙兵器開発計画にとって一つの挫折となる可能性がある』というアメリカのアナリストの指摘がありますが、これでまた一つロシアの経済が減速するきっかけになるかも知れませんね。

ただでさえ現在、ロシアの主要輸出品の原油価格が下落しているみたいなので(日本のガソリン価格は上がりっぱなしですけどね…何故?)、ますます厳しい状況になるのでしょう。

でもこの経済の減速で「もうウクライナ侵攻やめよう!」となると良いのですけれど。

どうでしょう? そんなことも考えながら、本件を見守っていきたいと思います。

ありがとうございました!

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