今回の『ガイアの夜明け』は、今深刻な問題となっている「獣害」「害獣」について。
「殺すのは可哀想」「人間が悪い」「山に返せばいい」などの意見があるものの、実際に経済的な被害、
人的な悲劇も増加している昨今、「害獣駆除」という避けられない問題になっているのも事実です。
とは言え、害獣を駆除するハンターへの成り手がいない、狩猟免許は取ってみたもののその先どうすれば良いかわからない…
農家や被害に遭った側も、どこに相談すれば良いの? 費用は誰が負担するの?
…などなど、お互いに分からないことだらけでなのが現状なんですよね。
そこに目を付けたのが小田急電鉄。
ハンター(予備軍含む)と農家をマッチングする試みを始めています。
なぜに小田急電鉄が? 僕も/私もハンターになれる?どうやって?
副業でできるの? 収入はどれくらい?
などなど、ちょっと調べてみましたので、ご興味ある方は最後までお付き合いくださいね!
害獣駆除に小田急電鉄が参入する理由は?
まず『害獣』とはなんぞや? というところからいくと…
害獣(がいじゅう)とは、人間活動に害をもたらす(獣害を引き起こす)哺乳類に属する動物一般(獣=けもの)を指す言葉である。人間の多い地域では、家畜などの飼育動物以外はほとんどがこれに含まれる可能性がある。
Wikipedeaより
という感じですね。
小さいところでは、ネズミ・モグラ・リス…くらいから始まって、タヌキ・キツネ・オオカミ…
さらにサル・イノシシ・シカ・クマ… 日本ではだいたいこんなもんですかね。
ペット、家畜以外の動物がほぼ当てはまる感じです。
「人間の活動に害をもたらす…」ですからね。
(そう考えると、人間ってのは勝手な生き物で…と別の議論になりそうですがそこは置いといて)
そんな「害獣」の駆除に小田急電鉄が乗り出した理由は?というと…
まず『大枠』としては、「社会課題の解決」を目的とした社内事業アイデア公募制度に提案され、採択された案件、ということだそうです。
その「社会の課題」のバックグラウンドには、
- 既存ハンターの高齢化(引退など)
- 新規ハンターの成り手不足(免許は取ったがその先へ進めない…も含む)、
といったものがあります。
特に「狩猟免許は取ったもののその先へ進めない」は、「ペーパーハンター」として、その問題が顕在化しつつあるそうです。
また小田急電鉄という鉄道会社としても、
- シカやイノシシの線路内への立ち入り、運行への影響、電車との衝突事故
- 山間駅周辺の街・村が衰退すれば、鉄道需要そのものがなくなる
という実際、会社の利益を脅かすリスクとして、この問題があるわけですね。
というわけで、小田急電鉄はその会社の実利としても、社会課題の解決という会社が担うべき社会貢献活動の一環としても、
この「害獣駆除」活動は是非とも軌道に乗せたいビジネスなわけですね。
害獣駆除に小田急電鉄がマッチング?メリットは?
具体的に小田急電鉄が害獣駆除にどのように関わっていくのか?というと…
「マッチング」ですね。
「害獣駆除をする側」と「害獣を駆除してもらいたい側」のマッチングというわけです。
小田急電鉄はこのマッチングの仕組みを「ハンターバンク」というシステムにまとめました。

ハンターバンクとは:小田急電鉄ハンターバンク公式サイトより
「ハンターバンク」と聞くと、ハンターを登録しておいて、農家さんとマッチングするの?
という感じがしてしまいますが、ハンターバンクはそれ以上の事をします。
上の図の左側、ここ「ハンター」じゃないんですよね。
「狩猟に興味がある人」なんです。
つまり上述の「ペーパーハンター」はもとより、これからハンターになってみようかな?
という人もこのシステムを利用できるというわけなんですね!
もちろん無料ではないですし、正に今すぐ山に行けるわけではないでしょうが、
そのための知識・準備・手順を示してくれるということですから、興味のある方には十分なブースト効果が期待できるのではないでしょうか?
詳細は「ガイアの夜明け」番組内で熱く語られるのだと思います!
「ハンターバンク」の詳細についてはこちらの公式サイトから。
害獣駆除を副業にできる?
さて、ではそんな害獣駆除。
さすがのハンターバンクを使っても、今すぐ本業にできます!とはならないでしょう。
とは言え昔なら、まずは仕事は辞めて山に入って修行して…(収入無しの本業)
という道のりだったでしょうから、それと比較するとはるかにハードルは下がっているはずです。
副業で狩猟を始める手順
まずは狩猟を始める手順としては、以下の5項目が挙げられますね。
- 狩猟免許試験:第一種猟銃免許・第二種猟銃免許・わな猟免許・網猟免許の4種(費用:¥5,200-)
- 初心者狩猟免許講習会:各都道府県の猟友会の講習会(費用:数千円程度)
- 銃砲所持許可:講習会・手数料・診断書等その他諸々(費用:約3万円程度)
- 猟具を揃える:罠であれば数万円程度、銃砲であれば数十万円程度
- 狩猟者登録:地域差アリ、〜2万円程度
ここで分かるとおり、狩猟免許を取得すればそれだけで狩猟ができるわけではないのですね。
講習会を受けて、銃砲であれば許可証をとって、猟具を揃えて、その地域に登録して、となります。
副業で狩猟を始める費用総額は?
上で書いた諸々の費用をまとめると、狩猟を始めるまでに必要な費用総額としては…
- 銃砲を使うのであれば、ここまでで総額数十万円
- 罠で狩猟を行うのであれば総額十万円程度
が最低限必要になるということですね。
上述の「ハンターバンク」に入っていれば、これらの手順を順番に手解きしてくれるだけでなく、
4.の猟具を揃える、のところでレンタルができて、いきなり数万円の罠を揃える必要がないというメリットがありそうです。
(損害賠償用の保険の加入も必要ですが、ハンターバンクではここもカバーしているようですね)
また、例えばイノシシが何頭も入る罠なんて、小さくてもタタミ1畳分の面積はあるでしょうから、
そんな大きくて重いもの、個人で所有して設置するなんてハードル高すぎですよね(汗)
これを現地レンタルで利用できるとなれば、これだけでももの凄いメリットと思います。
おそらくですが、ハンターバンクで銃砲のレンタルはしていないのでは?と思います。
銃砲は1本ずつ「銃砲所持許可」が必要ですので、きっと個人所有に限るのではないでしょうか。
害獣駆除の収入はどれくらい?
さて、ここまでで狩猟の準備はできたとして、ハンターとしての収入ってどんな感じなんでしょう?
副業の狩猟で収入を得るには、ざっくり以下の2通りがありそうです。
- 獲得した獲物を販売する
- 有害鳥獣の駆除として報酬を得る
獲得した獲物を販売する
手にした獲物は、肉・皮・爪・角などが販売できるそうです。
爪はちょっと想像できませんが、宝飾品?アクセサリーなんかの材料ですかね?
角はシカなどは漢方として需要が有るそうで、稼げる獲物として人気なんだそう。
とは言え、野生鳥獣を解体・精肉・販売するためには、食肉処理業と食肉販売業の許可を得ていなくてはなりませんし、食肉として捌く場所も、保健所の許可を受けた施設に限られています。
これはちょっとハードル高いですね…
許可を得ずに獲物を解体して販売すると、仮に相手が友人であっても食品衛生法違反にあたります。
狩猟者が獲物を取った場所でできる処理は、血抜き(放血)程度です。
ということは、現場で血抜きして解体してジビエ肉として持って帰れるのは、
自宅用として、あるいは友人などに無料でお裾分けするくらい、ということですね。
獲物を販売して利益を得るためには、ジビエ肉の買取を行っている食肉加工業者へ、買取を交渉する必要があるということになります。
これは業者ごとに買取の基準や金額が異なるはずですので、狩の前にはしっかりと情報収集・あるいは事前交渉しておくことが大切ですね。
もっとも、食肉処理業と食肉販売業の許可を得て、保健所の許可を受けた獲物を捌く施設を用意できれば問題ないですが… 副業ですからね(汗)
では実際、例えばシカ1頭、血抜きだけした(解体していない)状態で食肉加工業者さんに買い取ってもらうとして、いくらなんでしょうか?
食品加工業者さんから、レストランなどの飲食店で仕入れる場合、シカ肉1kg 約3,000円、ということですので、シカ1頭から10kgとれるとして約3万円ですよね。
…ということは狩猟者から食肉加工業者さんが買い取るには、高くてシカ1頭1.5万円〜2万円?くらいですかね?
そのシカに立派な角が生えていれば、その分いいお値段になるかもですが…
どうなんですかね?「儲かる!」というイメージではないですよね…
イノシシを罠で2,3頭捕まえて、1頭1万円として2,3万円…(う〜む笑)
有害鳥獣の駆除として報酬を得る
では次に有害鳥獣の駆除の報酬ですが、どんなもんなんでしょう?
有害鳥獣の駆除を行うためには、その地域の猟友会に入り、鳥獣被害対策実施隊の隊員にならなくてはならないそうです。
猟友会で一定期間の経験を積み、推薦書を得た方のみが隊員になれる、というやはりその地域に貢献するという意識が必要な感じですね。
有害鳥獣の駆除で得られる報酬は、国からの報奨金が主です。
地域や獲物によって異なるようで、1頭につき数千円から数万円程度の報奨金が支払われます。
一例として、鳥取のとある地域ですが、成獣のシカ1頭 18,000円、イノシシ1頭10,000円、だそうです。
単純計算で、年間にシカ80頭、イノシシ20頭を駆除したとして、年収164万円。
ここから各種消耗品の実費を引いたりすると、本業では厳しいですよね?
副業としてならそこそこでしょうか…
害獣駆除まとめ
というわけで、害獣駆除に小田急電鉄なぜ?と副業としてどうなの?収入は?について見てきましたが、いかがだったでしょうか?
- 害獣駆除に小田急電鉄が参入する理由は?:小田急電鉄が害獣駆除ビジネスに参入する目的は、社会貢献と、鉄道会社としてのリスクヘッジという感じですね。動機としては真っ当なものじゃないかと思います。
- 害獣駆除に小田急電鉄がマッチング?メリットは?:この小田急電鉄のハンターバンクは、「狩猟に興味がある人」と「農家さん」のマッチングなんですね。今ハンターでなくても、狩猟への興味があればそこから農家さんを助けられる。これはもちろん農家さんにとっても時間短縮のメリットになります。
- 害獣駆除を副業にできる?:小田急電鉄のハンターバンクを利用すれば、意外とかかる初期費用を抑えることができますので、副業を目指す人にとっては強い味方になりますね。
- 害獣駆除の収入はどれくらい?:推定値ですが、食材としても、有害鳥獣駆除の報酬としても、だいたいシカ1頭15,000円〜20,000円、イノシシ1頭10,000円くらいでしょうか? あとは各自どれくらいのペースで活動するか?にかかってくるかなぁというところですね!
人間による自然破壊、気候変動による里山の環境の変化、などなどによって、山の生き物たちを「害獣」と呼ばなければいけない昨今の状況には気が引けますが、
我々人間が安全に暮らし、繁栄していくためには必要な部分もあるわけで、なかなか難しい問題ですよね…
狩猟に興味がある人と農家さんをつなぐ、「ハンターバンク」という試み、いろんな意味で良い方向に向かってくれると良いなぁと思います。
小田急電鉄さんやシステム維持に関わる方々、狩猟に関わる方々、農家のみなさんに敬意を表します。
今日もありがとうございました!
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