今年(2025年)は例年に比べて熊の目撃情報や被害ニュースが多い気がしますよね。
熊が生息する山中に熊の食べ物が不足してくると人里に降りてきて、畑を荒らしたり、場合によっては人を襲ったりする熊が増えているみたいです。
通常、熊は植物を中心とした雑食性と言われていて、木の実(どんぐり)などが主食です。
熊は元来、臆病な生き物ですから、動物を狩って食べると言うことはあまりないようですが、
最近は人間が弱い動物であると学習した熊の個体が、人間を捕食対象と認識してしまったのかも知れません。
そんな熊ですが、このところ柿を食べに寄ってくるという情報が増えているそうです。
しかも熊は渋柿が好きなようですが、それはなぜでしょうか?
今日はそんな熊が渋柿を食べる理由について、ちょっと見ていこうと思います。
良かったら最後までお付き合いくださいね。
熊が居る!?木の上に大きな鳥の巣?それは『熊棚』!
熊が生息する山や森のどんぐりなどが生る木の上や、柿の木などの枝が、一部分折られたり曲げられたりしてまるで鳥の巣のようになっている場合があります。

ナラの木に作られた熊棚:YamapMagazineより
こんな感じですね。これは比較的背の高いナラの木ですが、クマってこんな高いところにも登れるんですね。
この鳥の巣状になっているところは、熊がどんぐりなどの木の実を食べるために枝を折ったり曲げたりして寄せ集めた所で、熊はその上に座ってどんぐりなどを食べるんですね。

柿の木に作られた熊棚:南丹波自然学校HPより
こちらは人の背丈ほどの柿の木だそうです。
すぐ近くに道路があって、垣根のような植え込みの中ですから、民家か農園の中とかでしょうか?
山歩きや、民家のある場所でも、こんな風に木の実の生る木の上などに大きな鳥の巣のようなものがあったら、それは『熊棚(くまだな)』。
熊が近くに生息している証拠です。十分に注意する必要があるということです!
熊が渋柿を食べる理由とは?
熊のおもな主食は「どんぐり」などの木の実です。
どんぐりは脂質が多く、特に冬眠前に脂肪を蓄えるために必要な食べ物なんだそうです。
では熊は冬眠中、排泄はどうしているんでしょう?
まず「尿(おしっこ)」ですが、なんと熊には尿を再利用するという驚きのシステムが備わっているそうです!
熊が冬眠中の「尿再生システム」とは?
その熊の「尿再生システム」とはどんなものなんでしょうか?
- 尿素の分解:哺乳類の体内ではタンパク質の分解によって、尿素が生成されます(老廃物)。冬眠中の熊は、この尿素を腸内細菌によって分解します。
- 窒素の再利用:分解された尿素は窒素となり、再びアミノ酸を生成するために再利用されます。
- タンパク質の合成:生成されたアミノ酸は、冬眠中に減少する筋肉などを維持するためのタンパク質に合成されます。
すごいですね!
人間が尿の排出を我慢していると、膀胱炎や腎盂炎など、かなりやっかいな状態になってしまうので、熊の冬眠の真似はしない方が良いですね…
クマはこの「尿再生システム」のおかげで、筋肉量の減少を最小限に保ち、冬眠から覚めたあともすぐに動ける準備ができているというわけですね。
またこのシステムによって熊は尿の排出を抑制し、体内の水分を無駄にすることが無いというわけです。
熊が冬眠中の『糞栓』とは?
では冬眠中の熊の糞(うんち)の方はどうしているんでしょうか?
なんと熊は直腸内に固い糞を溜めて肛門を塞ぎ、冬眠中に糞が出ないようにしているそうです。
この仕組みを「糞栓(ふんせん)」と呼ぶようです。
そしてこの糞栓を作るためか、腸の働きを鈍くするためか良くわかっていませんが、熊は冬眠前に渋柿を大量に食べるそうです。
渋柿にはタンニンが含まれていて、人間が大量に食べると腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が抑制されて、便秘になるそうです。
熊は渋柿なんか食べて美味しいの?という疑問も生じますが、どんぐりもそのまま食べるとかなり渋いそうですので、熊にとっては美味しいんでしょうね(笑)
そしてクマはこの糞栓で直腸に栓をして冬眠中に糞が出ないようにしているということです。
冬眠から覚めた熊は、柔らかい草などを食べて腸内にガスをため、勢いよくこの糞栓を排出するそうです。
冬眠から覚めた熊はお腹も減っていて気が立っている言いますし、いろんな意味で近づかない方が良いみたいです。
そんなわけでこの時期(秋)、冬眠前の熊は柿の木に寄ってくるというわけですね。
山や森の中に柿の木が豊富に自生してれば良いのですが、これは足りなくなると、柿農園や民家の柿の木にやって来るというわけ。困ったものです。
熊は渋柿好き?まとめ
というわけで、熊は渋柿が好きなの?熊棚とは?というあたりを見てきましたが、いかがだったでしょうか?
- 熊が居る!?木の上に大きな鳥の巣?それは『熊棚』!:ナラの木や柿の木の枝を寄せ集めて鳥の巣のようになっていたら、そこに熊が座ってどんぐりや柿の実を食べていた証拠。周りを注意して警戒しましょう!
- 熊が渋柿を食べる理由とは?:熊は冬眠中、尿や糞の排泄を抑制するシステムを持っています。渋柿は腸の働きを抑える成分も豊富なので、熊は冬眠前に渋柿をたくさん食べていると言われています。
熊以外の哺乳類の冬眠中の排泄はどうなっているんだろう?と疑問になりますが、
熊と同様のシステムを持っているものもあれば、一定の期間で覚醒して排泄したり食料を補給したりするものもいるようですね。
爬虫類などの変温動物は体温を通常より10度以上下げ、仮死状態で代謝をほとんどしないとも言われています。
なかなか興味深い熊の生態でしたが、できるだけ山の中で人里に降りずに生活していてもらいたいものですよね。
今日も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!
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